実習初日

ガイダンスにて、将来的に献体をされる方々をお招きして、お話を聞いた。
一人ずつ、どうして献体を決意するにいたったのか、自分のこれまでの人生について、そういったお話を聞いた。
自分なんかよりも何十年も多く生きている人生の先輩方のお話。
ご遺体には、その人の人生がつまっている。
「私が亡くなったら私の身体がみなさんの後輩に役に立つことができます」という言葉を何人もの方から聞きながら、果たして自分が解剖をするに値する人間性を、あるいは知識を兼ね備えた人間なのか、もしかしたら自分には荷が重過ぎるのではないか、そんなことを思った。

4時過ぎからは実習が始まった。
白衣に着替えて荷物をロッカーにつめ、実習室へ移動した。
今日は胸部の切皮と肋間神経の前枝の確認であった。
いよいよ実習が始まったのだ。